<記入日:2017.04.21>
和紙は、蛇腹折りの強度を確保する上で秀でていますが、閲覧用途の経本と異なりシャープペンシルなど(ペン)での筆記用途としては不向きです。
一方、ペンでの筆記に適した洋紙を前提とし、使用頻度の高い手帳としての耐久性を確保するためには、蛇腹折りの用紙には相応の厚さや密度が求められます。ところが、それらが増せば折り加工の難易度が増すという矛盾が生じてしまいます。厚く密度の高い用紙の場合は元に戻ろうとする力が強い分、特に折り山の数が多い蛇腹折りでは、折りっ放しの仕上げ方では圧力を加えてもバネのように跳ね返り膨らんでしまう現象が発生します。
そこで、経本等を専門に手がける製本所ならではの「水寄せ」と呼ぶ特殊な加工を施すことで、折りの跳ね返り問題を解決しています(写真左=水寄せ加工後)。
引き締まった折り上がりの製本を実現できる水寄せですが、手作業で行われる手間と技能を要するものです。その他にも折りを繋ぐ加工が手作業で行われるなど職人の技能、伝統に裏打ちされた技術やノウハウが随所に生かされており、市販向けとしては実に本格的な蛇腹折り製品に仕上がっています。